刊行している小説についての情報と小話

花盛りの椅子

2022年2月 集英社
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771780-8

被災した古家具を集める風変わりな家具屋「森野古家具店」。
そこで働く家具職人見習いの鴻池さんが様々な古家具と出会い、あるべき姿に作り変えていく物語です。
単行本には五つの物語が収録されています。 

一.「花盛りの椅子」――東日本大震災
二.「巣籠り箪笥」――伊勢湾台風
三.「万祝い襖」――関東大震災
四.「焼土鏡」――阪神淡路大震災
五.「私たちの寝床」――再び、東日本大震災

人間と古家具と、それらの周りにふわふわ漂う微細なものたちが語り合って、過去の記憶を引き継いでいきます。

東日本大震災の後、一日で激変した風景に衝撃を受けて、この十年太平洋沿岸にたびたび訪れては写真を撮っていたんですが、なぜか美術作品にならず、先に小説として仕上がったのは不思議なことです。
私が生まれてから起きた二つの大震災に加え、親が子供の頃に被災した伊勢湾台風、私が住む千葉に多くの石碑が残る関東大震災など、縁の深い災害を描いています。


ここは夜の水のほとり

2019年12月 新潮社
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771780-8

R18文学賞で大賞をもらった短編と、それと同じ世界の人々の話が5編収録されています。
武蔵野美術大学の学生や教師、卒業生、美術予備校の先生など、美大まわりの人々が主役です。短編はそれぞれ語り手が違っていて、人間の視点ではない物語もあります。
才能と選別、盗作、ミューズと搾取、肖像と忘却など、青春時代に気になった出来事をあれこれ詰め込みました。山崎パンと温室も出てきます。